こんにちは、ジャスミンツアーズ松本です。私は着物やスカーフなど、小さい頃から布が好きでした。インドネシアでは、ジョグジャカルタ近くのソロのバティック村と呼ばれる場所で、1日中お店からお店を歩き回り、布を見て過ごしました。
スリランカにはそのインドネシアから技術が伝わり、バティックはスリランカの伝統的な染物として根付いています。スリランカ各地にバティックの工房があり、行程見学の後、ショップで気に入ったものを買うことができます。
目次
スリランカのバティックの特徴
インドネシアでは、バティックは王族にささげられるもので、たいへん凝った繊細な工芸品のようなバティックもあります。イスラム圏であるインドネシアでは植物や幾何学模様が主なモチーフで、あえて色味を少なく抑えたものも多いです。
スリランカのバティックは、印象としてはもう少しおおらか。色数が多くて自由、絵画的な点が特徴といわれます。スリランカでは幾何学模様に加えて、動物やペラヘラ(スリランカのお祭り)など、生活に根差したモチーフがふんだんに取り入れられているのも魅力です。
今回は、そんなスリランカバティックの制作工程を、写真とともにご紹介します。
こちらも参照
バティックの製造工程
コットンかシルクにバティックを施します。お手頃なのはコットンですが、シルクのバティックもとても美しいです。
1. 布にデザインを手書きする
カーボンシートの上で描いて、裏面にも絵柄を転写させます。
上はコロナのパンデミック中の写真です。このときは工房もひっそりしていました。
2.白く残したいところに両面ロウを塗る
上の写真の左側の鍋にはロウが入っており、ストーブで熱せられています。青い前掛けに落ちているのはロウのしずくです。余計なロウを落としつつ描いています。ただでさえ暑いスリランカで、とても地道な作業です。
3.塩と酢を混ぜた液体に布を付けて色止めする
色止め液の酸っぱい匂いで思い出したのは、母の和箪笥です。浴衣の段を開けたときと同じ匂いがしました。調べると、日本でも藍染めでは酢を使って色止めすることがあるようで、同じ工程を経ていることがわかりました。
4.お湯でロウを溶かす
5. 天日で乾かす
6. 2~5を色の数だけ繰り返す
淡い色から染めて、その染めた色を残したいところにロウを塗り、次の色を染めていきます。これを色の数だけ繰り返します。下絵を描いて、蝋で白く抜きたいところを蝋でなぞって、染めて色止めして、と色の数だけ繰り返します。
例えば黄・赤・黒で染めたい場合は、黄色で染めた後、黄色を残したいところにロウを塗ってから赤色に染めます。
バティックの特徴でもある亀裂のような染まり方は、塗ったロウが割れたところに染料が入るためです。
上の写真は製造工程を説明する際のサンプルです。手間暇かかっていることがわかりますね。
バティックの制作も体験できる
とある工房では、興味があることを伝えたら、バティック製作も体験させてもらえました。
白いコットンのハギレに「何か描いて」と言われ、お手本も頭の中の引き出しもないので、とっさに自分の名前と桜の花を書き、Sri Lanka と下絵を入れてみました。
続いてロウをひくですが、これが想像していたよりかなり難しい!金属のペンのような器具を使いますが、溶けた蝋は熱いし、蝋を器具に取りすぎるとたれてしまうし、少なすぎても線が引けないしで、これは熟練の技と忍耐が必要だ・・と思いました。小さな点が無数に描かれたバティックが高価である理由もうなずけます。
結局、職人さんにかなり手伝ってもらい、染めて、色止めして洗って、お湯につけて蝋を落とします。染めから後は、かなりスピーディー。アイロンをかけてもらって、その場で持ち帰ることができます。
上の写真は、蝋引きの職人さんが私の作品(?)の蝋を落としながら、「ほら、本物のバティックは表と裏が全く同じように染まるのよ!」と教えてくださっているところです。元気の良い方でした。
最後の写真、お店で購入した素敵なバティック2つに挟まれているのが私の初バティックです笑。桜の花びらはつぶれ、蝋の雫の跡が見えます。でもこうして今、日本で写真を撮ってにんまりしているので、とても良い思い出になりました。
雑貨好きな方や伝統工芸の好きな方に、バティック工場見学はご満足いただけると思います。ジャスミンツアーズでもご案内しています。制作の体験をしたい方には事前予約しますので、お問い合わせをお待ちしています。