今回はスリランカの8月の一大行事、「キャンディ エサラ ペラヘラ」についてご紹介します。
2026年は8月18日から28日にかけて行われます。日本など海外から見られる中継などについてもふれます。
1.そもそも「ペラヘラ」とは?
ペラヘラとは、シンハラ語で「パレード」のことです。ディズニーランドのパレードを思い浮かべてみてください。それが宗教の重要な行事になったのがスリランカのペラヘラです。
最も盛大なキャンディのペラヘラはエサラの月、つまり8月の満月の日に向けて行われますが、各地で「ペラヘラ」は行われています。コロンボのペラヘラは2月、カタラガマは7月などです。いずれも満月の日(ポヤデー)を中心に行われます。
大小を問わなければ、毎月どこかでペラヘラが行われているといっても間違いではないでしょう。
2.キャンディのペラヘラの歴史
キャンディエサラペラヘラは、2つの祭りがキャンディ王朝時代に合体したものです。
①雨乞いと豊穣を願う祭り
この地域で古くから行われていた、雨と豊穣を祈る儀式「エサラ祭」が最も古い起源です。
このお祭りの時期を境に、キャンディは乾季から雨季へと移行していきます。もっとも、現在は異常気象で、昔のようにはいかないようです。
②仏歯の礼拝の儀式
スリランカへ仏歯が到来したのは4世紀初頭と言われています。仏歯は王権の象徴となり、当時都のあったアヌラーダプラでも仏歯を運ぶ儀式は行われていました。都が遷るたびに仏歯も移動し、最後の王朝のあったキャンディに今もまつられています。
①と②が合体し、ペラヘラが現在に近い形となったのは、18世紀のキャンディ王国時代です。
現在のペラヘラは、次の5つの行列によって構成されています。
それぞれ衣装のイメージカラーも決まっており、目印になります。
- 仏歯寺のマリガーワ・ペラヘラ Maligawa Perahera
- ナータ神殿のペラヘラ Natha Devale Perahera (緑)
- ヴィシュヌ神殿のペラヘラ Maha Vishnu Devale Perahera (青)
- カタラガマ神殿のペラヘラ Kataragama Devale Perahera (赤)
- パッティニ神殿のペラヘラ Pattini Devale Perahera (白)
仏歯寺のペラヘラに続く4神には、スリランカ土着やヒンドゥーの神様も含まれます。日本の神仏習合にも似ていますね。
3.キャンディエサラペラヘラの流れ
大まかな流れは次の通りです。
①仏歯寺のペラヘラ The Maligawa Perahera
大砲 The Ceremonial Cannon
吉刻になると大砲が一発鳴り、行列の出発が告げられます。この時刻は毎晩異なり、占星術によって決められます。
ムチを鳴らす人々 Whip-crackers
ムチを地面に打ちつける鋭い音で、ペラヘラの到来を知らせ、行列の進路を開きます。かつて王や大臣が通るときも、同じように鞭の音が先立ちました。
火の演者と松明を持つ人々 Fire Dancers and Torchbearers
火を使った華やかな演技を披露します。松明は、かつて夜の街を進む行列を照らす役割も担っていました。
旗手・先導役・役人 Flag-bearers, Procession Leaders and Officials
仏教旗や各地域を表す旗を掲げる人々、そして行列を先導する伝統的な役人が続きます。最初の象に乗るペラムネ・ララは、かつて王が発行した開催許可状を運んだ伝統的な役人です。続くガジャナーヤカ・ニラメは象を統べる責任者で、銀のゾウ使い棒を掲げて歩きます。
太鼓奏者・キャンディアンダンス・象 Drummers, Kandyan Dancers and Elephants
さまざまな太鼓や管楽器の奏者、キャンディ舞踊の踊り手、華やかに装飾された象が登場します。これらの一団は、行列の中で何度も繰り返し現れます。
★聖なる舎利容器を運ぶタスカー The Ceremonial Tusker Carrying the Sacred Relic Casket
仏歯寺の行列の宗教的な中心です。実際の仏歯ではなく、仏歯を象徴する儀礼用の舎利容器を背中に乗せて進みます。象が近づくと沿道の人々は立ち上がり、手を合わせて「サードゥ Sadhu」(パーリ語で善哉)の声を上げます。
ディヤワダナ・ニラメ The Diyawadana Nilame
仏歯寺を管理する在家の最高責任者です。キャンディ王国時代の伝統的な装束を身にまとい、刺繍の大きな傘の下を、従者を伴って歩きます。
②4つの神殿の行列 The Four Devale Peraheras
仏歯寺のマリガーワ・ペラヘラが過ぎると、仏教と王都を守護する神々を祀った四つの神殿の行列が続きます。それぞれの行列には基調となる色があり、緑、青、赤、白へと色彩が移り変わることで、次の神殿の一団がやって来たことが分かります。
ナータ神殿のペラヘラ The Natha Devale Perahera ― 緑
キャンディの守護神。ナータ神は歴史的に観音菩薩との結びつきが深く、観音菩薩に由来するとも、弥勒菩薩であるともいわれます。
ヴィシュヌ神殿のペラヘラ The Vishnu Devale Perahera ― 青
ヒンドゥー教の神ですが、スリランカでは島の仏教を守護する神とされています。
カタラガマ神殿のペラヘラ The Kataragama Devale Perahera ― 赤
カタラガマ神は、スリランカで古くから信仰されてきた神です。後にヒンドゥー教の軍神スカンダと同一視されるようになりました。この行列では、孔雀の羽根で飾られたカヴァディ(半円形の奉納具)を肩に担ぐ踊り手が登場し、南インドやタミル文化の影響が見られます。
パッティニ神殿のペラヘラ The Pattini Devale Perahera ― 白
貞節と治癒の女神。五つのうち、女性が踊るのはこの行列だけです。
4.キャンディのペラヘラの見どころや特徴
①出演者は、ゾウが約60頭、人間が約3,000人。
ペラヘラの主役となるゾウは、立派な牙を持つ「タスカー」であることが条件です。もともと、アジアゾウのうち牙を持つのはオスのゾウの数%で、貴重な存在です。
とくに仏歯を運ぶゾウは、Facebookにファンページがあるほどの人気を誇ります。歴代の主役のゾウが、ペラヘラの歴史そのものと言っても過言ではないくらいです。
仏歯寺の敷地内には、かつての名高いタスカー、マリガーワ・ラージャ Maligawa Raja (1988年没)の剝製を展示する小さな博物館もあります。
2022年に没したナドゥンガムワ・ラージャ Nadungamuwa Raja は、車での輸送を好まず、地元のナドゥンガムワ村 Nadungamuwa から100km近い道のりを歩いて仏歯寺まで向かうことで有名でした。軍隊などが警護しながら仏歯寺へ向かう様子がニュースで連日放送されるほどでした。没後、国宝に指定され、2026年3月よりコロンボ国際博物館内の自然史博物に展示されています。
ナドゥンガムワ・ラージャの展示についての記事(英語)
現在の主役のタスカーは、インディ・ラージャ Indi Raja です。名前の通り、インドから贈られたゾウです。
ただ、動物保護の観点や飼育ゾウの高齢化から、年々出演するゾウも減ってきているそうです。
キャンディエサラペラヘラでは女性の出演は長らく禁じられていましたが、現在は女神パッティニの行列には、女性ダンサーの出演が認められています。

②毎日、開催時間が違う
10日間にわたって行われますが、開始時刻は占星術によって決まり、ルートも毎日変わります。
前半5日間は「クンバル・ペラヘラ」、後半は「ランドーリ・ペラヘラ」と呼ばれます。
「クンバル」はシンハラ語で陶工を意味します。名称の由来には諸説ありますが、前半5日間は、後半のランドーリ・ペラヘラに比べて比較的簡素な行列です。
ランドーリはシンハラ語で「黄金の輿」(こし /高貴な人が乗る乗り物)の意味で、とくにかつて王妃たちが乗ったものを指します。現在も、ランドーリペラヘラの最後には輿を模したものが何台か運ばれます。
後半のランドーリではゾウと人間の衣装も一段と豪華に、パレードの参加者数も増えます。結果、初日は2時間ほどのパレードが、日ごとに長くなり、最終日には4時間近くになります。
最終日のグランドランドーリペラヘラでは、メインのタスカーのために白い布(パーワダといいます)を敷く役割の人間がおり、タスカーは布の上を厳かに歩きます。お客様によれば、最終夜は、ペラヘラ終了後も人々の興奮冷めやらず、明け方まで音楽が鳴り響いていたそうです。
前述のナドゥンガムワ・ラージャには、舎利容器を背にしていたある時、敷かれたパーワダ(白布)がずれていたのに気づき、足でそっと直してから、その上に踏み出した、という逸話が残っています。

タスカーが通り過ぎるときには、立ち上がることがマナーです。

仏歯の舎利容器

最終日のインディ・ラージャ 赤く、よりキラキラした衣装に
なお、タスカーの衣装は有力者による寄進です。主役のインディ・ラージャは10枚の寄進を受け、毎日異なる衣装を身にまとっています。最終日のグランド・ランドーリ・ペラヘラ用の衣装は、キャンディ・シティ・センター(キャンディのショッピングモール)のトゥシタ・ウィジェセーナ氏が寄進しているそうです。
③音と光と多様なパフォーマンス
祭りの始まりを告げるムチの音、アクロバティックなファイヤーダンサー、太鼓や笛を鳴らす楽隊、キャンディアンダンサーたちも必見です。

ペラヘラは、スリランカの代表的な民族舞踊、キャンディアンダンスを数多く、しかも一流の踊り手によって見られる機会でもあります。ダンスが好きな方にもおすすめです。

太陽を模した赤い頭飾りが目印
ペラヘラとキャンディアンダンスに欠かせないのが太鼓です。大きさと形の異なる数種類の太鼓の集団が練り歩き演奏する姿は、ライブ感満載です。

5.実際にペラヘラを見て感じたこと
昨年、キャンディエサラペラヘラを観覧する機会に恵まれました。
最も印象的だったのは、海外からの観光客にとってはイベントですが、スリランカの方たちにとっては重要な宗教の行事ということです。
キャンディのペラヘラは仏教色が濃いですが、宗教を問わず、スリランカ全土から人が訪れます。観光客は座席料金を払って椅子で見学しますが、スリランカの人たちは朝から地べたで場所取りをして待ちます。
仏歯を背中にいただくゾウが通るとき、観光客は写真を撮りますが、スリランカの人たちは手を合わせて祈ります。私たち観光客は、地元の方たちの大事なものを見せていただいている、ということを忘れずにいたいものです。

6.観光のコツ
開催期間中は、午後の早い時間にキャンディ市街への車の通行が止められます。早めにホテルにチェックインしましょう。
私は予めホテルに観覧席を確保しておいてもらったので、開始の少し前までホテルで休むことができました。ホテルのスタッフの方からは、大変だけれども彼ら自身もこのお祭りを楽しみにしていること、ペラヘラ期間中にキャンディにいることへの誇りも感じました。
なお、期間中、キャンディ市街の多くのホテルは特別料金になります。

私が観覧したのは初日で、まだ人は少なかったようですが、それでもお手洗いに行くにも苦労するほどの混雑でした。
観覧席は詰められるだけ詰めるあまり、安全性はさほど配慮されていない面もありますので、その点は予め想定しておいたほうが良いです。したがって、小さなお子さま連れにはおすすめしづらいです。

なおペラヘラ期間中、スリランカの「飼われているゾウ」のほとんどはキャンディに移動します。その結果、シーギリヤでエレファントライディングができなくなったりします。
もちろん、国立公園のサファリなど、野生のゾウには全く影響はありません。
お客様の中には混雑を避けるため、あえてこの時期のキャンディに立ち寄らない方もいらっしゃいます。
6.2026年の開催日程と、日本など海外から見る方法
仏歯寺Sri Dalada Maligawa の公式サイトの通り、8月18日が初回のクンバルペラヘラ、27日が最後のランドーリペラヘラです。

2026年のスケジュール(スリランカ時間)
中継は仏歯寺の公式facebookページまたはYoutubeにて、英語でも行われます。
解説ではゾウの名前や所属の紹介や、ダンスグループの紹介もされ、面白いですよ。
2025年のペラヘラのクライマックス(グランド・ランドーリ・ペラヘラ)
個人的には、ソロで太鼓をたたきつつものすごく踊るおじさまが毎年楽しみです。一度見たら忘れられないので、みなさまぜひチェックしてみてください。

いかがでしたか。ジャスミンツアーズでは、キャンディエサラペラヘラ期間中のホテル手配、観覧チケットの手配も行っています(観光タクシーとセットで承ります)。
来年以降、スリランカ旅行を計画される方も、まずは中継をご覧になってみてはいかがでしょうか。










