※当記事は2020年3月までの状況を記載したものです。2021年時点の最新の状況はこちらの記事をご覧ください。
こんにちは。スリランカジャスミンツアーズの松本です。スリランカに関するコロナウイルス(COVID-19)の状況ですが、初回アップ時(3月3日)から目まぐるしく変わっています。
空港に旅客機が到着できない(実質的な入国停止)状況が続いています。現地では外出禁止令が続き、生活への影響は日本よりもかなり大きいです。
スリランカのコロナウイルスの状況について、まとめたいと思います。
目次
スリランカ国内のコロナウイルス感染状況
1月末に中国人観光客の感染者が1名いたものの、拡大は見られず、しばらくのほほんとしていたスリランカですが、現地の方々に感染が見られ始めています。
3月26日時点の感染者数は99名です。スリランカ政府観光局が特設ページを作って、患者数や最新情報のアップデートをしてくれています。英語ですが日別に主要なニュースを簡潔に掲載しており、大変わかりやすいサイトです。
Updates on COVID-19 (Coronavirus Disease 2019) Sri Lanka Situation
現地の人と話をしていると、医療の技術も医療施設の数も日本や欧米諸国と比べて十分でないため、とても不安な日々を過ごしているようです。
(スリランカ在住者の感染者について)
3月11日に、スリランカ人で初めてのコロナウイルス感染者が発見されました。
– コロナウイルス感染者発見、政府は国民に落ち着くように指示(3月12日)
Govt. urges calm after coronavirus patient detected
患者は50代のツアーガイドで、弊社現地代表のタリンダも顔見知りだそうです(狭い世界ですね)。イタリア語が堪能で、観光客から感染したと予測されます。この患者の濃厚接触者にも感染が確認されています。
外出禁止令はスリランカ全土で継続・終了時期未定
(3月26日時点)
在スリランカ日本大使館の案内に詳しいです。
- スリランカ政府は,コロンボ,ガンパハ,カルタラ県の3県を新型コロナウイルス感染 症の危険地域に指定
- スリランカ全土で3月30日までの実施が決まっていますが、終了時期は未定。
- 日によって、朝6時から正午が外出可能。ただし政府により随時変更が通達されているようです。
コロンボ,ガンパハ,カルタラはいずれもスリランカ西部の海沿いの県です。人口が多く、また元々ヨーロッパへの出稼ぎ労働者が多い地域のため、感染者が多くなっている模様です。
参考までに、スリランカの都市別人口上位は次の通りです。人口上位の都市はコロンボ県に集中していますし、ガンパハ県のネゴンボには空港があります。なお、スリランカ全土の人口は約2,100万人です。
現地のドライバーに聞くと、外にはたくさんの警察官が目を光らせているそうで、大変な閉塞感がありそうです。
– 2,262人が外出禁止令を守らなかったため逮捕(3月24日)
2,262 arrested for violating curfew
外出禁止令の長期化に伴い、政府によって食料等の生活必需品の宅配支給が始まっているそうです。どの程度まで行われているかはわかりません。
– 生活必需品の宅配が始まる
Home delivery of essential commodities begins
(3月23日時点)
3月18日から始まった外出禁止令ですが、最新情報は在スリランカ日本大使館のサイトに詳しいです。
期間中は、基本的には午前中の6時間のみ外出が可能です。都市部では3月27日まではスケジュールが決まっていますが、終了時期は未定となっています。
(3月20日時点)
対象地域がスリランカ全土になりました。期間は3月23日までだそうです。
– 23日月曜日まで、セイロン島全土で夜間外出禁止(3月20日)
Island-wide curfew to be imposed until Monday
(3月18日時点)
スリランカ西岸部のプッタラム、チラウ、ネゴンボでは夜間外出禁止令が出ていました。ネゴンボのコッチカデ(Kochchikade)はドライバーのタリンダが住んでおり、ニュースでこの町が出てきたときは少し驚きました。
これら西部沿岸地域は、元々イタリアなどのヨーロッパへの出稼ぎ労働者が多い地域です。タリンダ曰く、都市部のコロンボではなくこの地域が外出禁止令になっているのは、現在多くの出稼ぎ労働者が帰国中で、しかも検疫を受けていない人が多いからだそうです。
– プッタラムやコッチカデなどで夜間外出禁止令(3月18日)
Police curfew in Puttalam, Kochchikade from 4.30 pm today
在宅勤務が推進
3月16日から19日までを急遽休日としたスリランカですが、3月20から27日までを在宅勤務とするよう、政府から指示が出たそうです。
– スリランカ、新型コロナウルス感染者の増加に伴い欧州フライトに制限(JETRO)(3月17日)
– 政府がこの一週間を在宅勤務とすることを宣言(3月19日)
Govt. declares one week as ‘work from home’
(息抜き)現地の人は何をして時間を過ごしているの?
業種柄、在宅勤務もできないドライバーのタリンダですが、1日中外出もできずに何をしているの?と聞いたところ、
「家族でカロム Caromをやってたよ」と言っていました。
(英語の勉強くらいやってくれないかな・・と正直ビジネスパートナーとしては思うのですが・・)
カロムは、インド発症のボードゲームで、スリランカではポピュラーなゲームだそうです。日本ではなぜか滋賀県彦根市で根強い人気なのだとか。
学校が休校に
-国立の学校が3月13日から4月20日まで休校に(3月12日)
All Govt. schools closed till April 20: Minister
12日に感染者が発見され、2日後には休校というスピード感。ラジャパクサ大統領の意思決定が迅速ということでしょうか。
-国立大学も2週間休校
All universities under the UGC to close for two weeks
現在までに国立の教育機関や教員養成学校も、時期は多少異なるものの一時的に休校になっています。
買いだめ騒動はどの国も同じ
スリランカに限りませんが、休校が通知されてから、スーパーから食材がどんどんなくなっていると、現地のタリンダが言っていました。
もともとスリランカの人々はイノセント(よく言えば素直、悪く言えばあまり考えない・・)な性格の人が多いので、その側面もあるかもしれません。マスクを適正な価格で提供するようにというのはスリランカ政府も呼び掛けています。
観光施設も一時閉館
-国立公園やデヒワラ動物園が3月15日から2週間閉園(3月14日)
Dehiwala Zoo, all National Parks closed for two weeks
-11の国立博物館を通知があるまで無期限で閉館(3月16日)
11 museums closed until further notice
各国からスリランカへの渡航制限・ビザなど
3月19日から3月31日まで、スリランカへの入国停止
(3月26日時点)
入国停止措置が3月31日まで延長されています。
大使館のページでは、スリランカ在住や旅行中の日本人に対し、早期の日本への帰国を呼び掛けています。
(3月18日時点)
在スリランカ日本大使館の案内で詳しく掲載されています。
・3月25日までスリランカ国内全ての国際空港で商業旅客機の受け入れを停止
・現在スリランカに入国している外国人のビザは延長される
・出国、経由便、貨物便については引き続き運航。ただし出国便も減便されている模様。
(3月16日時点)以下の国からの旅行を禁止
- イタリア、韓国、イランからの渡航者
- 3月15日~29日まで:英国、ノルウェー、ベルギー、オーストリア、デンマーク、フランス、ドイツ、オランダ、スウェーデン、スペイン、スイスからの渡航者
- 過去14日以内に上記の国のいずれかを訪れた他の国の人々にも適用される
- 上記の国から到着した場合、14日間の検疫期間が必要
-ヨーロッパからの渡航者は検疫期間を経る必要がある
Sri Lankans arriving from Europe, must undergo quarantine process
-英国、ベルギー、ノルウェーのフライトを3月16日から2週間停止
All flights to SL from UK, Belgium, Norway suspended
(3月12日時点) アライバルビザ発給を中止
–大統領が新型コロナウイルスの対策として、オンアライバルビザの発給の暫定停止を指示(3月12日)
日本からスリランカへ渡航はできる?
3月26日現在、バンダラナイケ国際空港での全ての国からの旅客航空機の乗客受け入れを停止しています(3月19日より受入停止)。よって実質的に渡航は不可能です。
ひとまず3月31日までの期限付きですが、今後の先行きは不透明です。
大使館や航空会社に事前にお問い合わせされることをおすすめします。
今後のスリランカ経済への影響
下で紹介するJETROの記事にもある通り、スリランカの産業は中国に依存しており、物流や労働力含めて経済への影響は避けられません。
観光業への影響ももちろんあり、今は中国は当然として、ヨーロッパからの観光客の姿も減っているとドライバーは言っています。昨年4月のテロを乗り越えてきたスリランカですが、残念ながら再び厳しい状況に置かれています。
(参考)直近のスリランカへの観光客数は?
2020年1月のスリランカへの観光客数は、前年同月比に比べて6.5%減
– Tourist arrivals in January drops by 6.5%
Sri Lanka Tourism Development Authorityによれば、1月の観光客数は228,434人。ヨーロッパからの観光客が大きく増えたそうですが、コロナウイルスの影響で 欧州からの旅行が実質禁止となり、激減が予想されます。
・上位5か国:インド、中国、イギリス、ロシア、ドイツ
・地域別:ヨーロッパが一位で50%、アジアパシフィックが40%、アメリカが6%、中東3%、アフリカ1%
最後に~スリランカ旅行時の留意点
以上、スリランカ旅行の計画のご参考になれば幸いです。
別記事にて紹介していますが、日本からスリランカへの観光ビザについて、無償期間が2020年4月まで延長されました。
7月20日から日本⇔スリランカの直行便も週5便に増発予定で、スリランカとの関係がますます深まる・・!と期待していた矢先なので、いちスリランカ好きとしても、とても残念です。
自少しでも早く事態が収束に向かい、停滞感から浮上することを願ってやみません。
(注)今回の記事は各サイトを調べ、現地の人にヒアリングをしながら作成しましたが、情報は刻々と変化し、錯綜しています。弊サイトでは情報の真偽には責任を負いません。ご旅行を検討される際にはご自身でもお調べになり、スリランカ旅行をお楽しみくださいませ。
参考にさせていただいたサイト様
日本語
-在スリランカ日本大使館
–日本橋夢屋 海外出張情報(スリランカ)
英語
–スリランカ政府観光局 Covid19特設ページ
– スリランカ保健省 Epidemiology unit(検疫ユニット)ページ
– PMDニュース(スリランカ政府によるニュースページ)
–デイリーミラー(スリランカのニュースサイト)コロナウイルス特集ページ
~以下参考、3月3日時点の状況~
スリランカ国内のコロナウイルス感染状況(3月3日時点)
2020/2/28に発表されたJERTOのページに詳しいです。
– 新型コロナウイルス、スリランカの観光業や建設業に影響も
<要約>
- 2020/1/27に中国人観光客1名が発症。快癒し、既に中国に帰国済。
- 武漢に滞在するスリランカ人学生全員を呼び戻し、2週間隔離して検査を行ったが、陰性。
- 現在、中国からの入国者に対してアライバルビザの発給を停止。
その他の対策として、バンダラナイケ国際空港では、渡航者以外のビジターの立ち入りを禁止しています。
感染者の発見された翌日の2020/1/28より対応しているので、とても動きが早いです。
-空港ターミナルに入れるのは搭乗者のみ
Access to airport terminals only for passengers
-ビジターのBIA(バンダラナイケ国際空港)への入場禁止
Visitors prohibited from entering BIA
なお、これに伴い、ドライバーの空港内の立ち入りができなくなったため、弊サービスのお客様との待ち合わせ方法が少し変わっています。
各国からスリランカへの渡航制限など
2020/3/3現在、中国及び韓国に加え、イタリア、イランからの渡航者に対して、14日間の検疫期間を設けています。
なお、韓国には約22,000名のスリランカ人が働いているそうです。
-韓国、イタリア、イランからの渡航者に14日間の検疫期間
Passengers arriving from S. Korea, Italy, Iran to undergo 14-day quarantine
– Sri Lanka to quarantine passengers from South Korea
– https://www.gov.uk/foreign-travel-advice/sri-lanka/health
スリランカ現地の雰囲気・ニュースでの取り上げられ方
1月時点では、いつも15ルピーで売られているマスクが500ルピーで売られるなどして、政府から適切な値段で販売するように、とお達しが出たスリランカですが(どこの国も同じですね)、現在は自国感染の脅威という側面からは少し熱が冷めてきています。
現地のニュースサイトを開く限り、コロナウイルスの感染拡大は、自国というよりも世界のニュースとして取り上げられているようです。
また、スリランカでは100万人以上が世界各国で出稼ぎ労働者として働いているため(人口は約2,100万人)、海外在住のスリランカ人の状況把握という目線での報道が多いよう見受けられます。イタリアや中東のニュースが多いのもそのためでしょう。
2020/3/3、イタリア在住のスリランカ人2名がコロナウイルスに感染したことがわかったそうです。これはスリランカ本土・外国問わず、スリランカ人の最初の感染者です。
-イタリアのスリランカ人がコロナウイルス陽性
Sri Lankan in Italy tested positive for coronavirus
2020/2/25、大使館や領事館が彼らとコミュニケーションを図っているニュース。イタリアには約104,000名のスリランカ人が住んでいるそうです。弊社のドライバー、タリンダの親戚のお姉さんもイタリア在住です。
– FOREIGN MINISTRY COORDINATES EFFORTS TO SAFEGUARD SRI LANKANS AMIDST RISE OF CORONAVIRUS (COVID-19) IN ITALY
ドライバーらに聞きますと、日本の学校が休校になることは驚きとともに受け取られています。ニュースの80%がコロナに関するものだということも(私たちも半月前までは考えられませんでしたね・・)。
手洗いが最も効果的な予防であることは間違いないようですが、スリランカでは手で食事をするので、手洗いは徹底されています。大き目のレストランですと、奥に洗面台が何個か並んでいます(もちろん石鹸もあります)。
なお、ダイヤモンドプリンセス号にも、2名のスリランカ人乗組員が乗船していたそうですが、日本からは出国し、現在インドで検疫期間中とのことです(2020/2/27)。
-大統領がクルーズ船乗組員の避難について、インドに感謝
PM thanks India for evacuation of two Lankans from cruise ship
– Two SL crew members safe on board Diamond Princess
その他、スリランカ最近のニュース
良いニュースも紹介したいと思い探しましたが、方法が悪いのか、タイミングが悪いのか、あまり見つからず・・ただ、どのニュースサイトにもブッダのお話の記事があるのはスリランカらしいと思いました。
政府がタマネギの購入価格の引き上げを指示
農家からの買い付け金額が、キロ当たり60ルピー(約36円)→80ルピー(約64円)に引き上げられたそうです。政府によって価格が定められているのですね。
– Govt. to increase certified purchasing price of big onions
スリランカ旅行のお問い合わせは、ジャスミンツアーズまでどうぞ!気長にお待ちしております。